実施報告

2019.10.16
アートラボぎふ

現代アートとは何か? ~マルセル・デュシャンを巡って~ 第1回 実施報告

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現代アートとは何かを学ぶ2回シリーズの講座の第1回目を開催しました。「モダンアート」が現代美術を意味するものであった80年頃までの作家と作品について、豊富な画像資料を用いた講師によるレクチャーと映画「バスキア 10代最後のとき」でたどりました!


【開催概要】 チラシはこちら(PDF)

◆日時  令和元年10月6日(日) 13:30~17:00

◆会場  ぎふ清流文化プラザ(岐阜市)

◆講師  桑原 鑛司氏(Art Award IN THE CUBE企画委員会委員長)

◆参加者数  20名


◆内容  芸術家が生きた時代に沿って、1980年代半ばまでの作品とその背景の説明がありました。

最初に、シャープで構図や画面に取り上げる世界も独特で他に類はない女流画家ジョージア・オーキフ、ヨーロッパの伝統的な美術の価値観を否定し、視覚に訴えるのではなく哲学的な作品を残したマルセル・デュシャンの説明がありました。デュシャンの代表作である「泉」「彼女の独身者によって裸にされた花嫁、さえも(通称:大ガラス)」「遺作」などが解釈とともに紹介されました。

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デュシャンが大ガラスを制作しているころ、ニューヨークでは抽象表現主義と呼ばれる若者たちが出現し、アクションペインティングのジャクソン・ポロックは最初は具象が残っていたり、キュビスムの影響を受けた作品も制作しており、絵を描く技法としては全く新しいドリッピングを使用した。モーリス・ルイスの机の上にキャンバスを広げて、アクリル絵の具をたらしたにじみの効果の作品ヴェイルペインティングは叙情的で人々を魅了し、ジャスパージョーンズは着色した蜜蝋で画面に実にカッコイイ筆触(タッチ)を残し、アンディ・ウォーホルはシルクスクリーンの技法で印象派の画家たちが得意としてきたカタチと色面のずれを多用した。彼らは絵を描いている意識であり、別の新しいことといっても造形をするわけではなく、制作するのは、あくまで絵画として成立する作品でなければならず、その時代は、まだ美術は「絵画」というジャンルを持っていたということでした。

その後、ストリートアートといわれる、街角や地下鉄の壁などにスプレーやペンキで落書きしたジャン・ミシェル・バスキアなどが登場するが、このあたりまでは、最先端の抽象絵画でも画家たちの意識としては絵画であった。その後「考える芸術」というものに移っていくべきだという時代に入ったということでした。

その後、映画「バスキア、10代最後のとき」を鑑賞し、当時の理解を深めました。

◆参加者の声  「講師の方が本音で話をされているのが良かったです」「日本とは違う時代の流れを感じられた」など、講師の人柄が表れる作品画像を用いた的確な説明と映画で当時をイメージすることができる講座となりました。

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