実施報告

2024.01.13
アートラボぎふ

彫刻実技講座 私の大好きなもの 実施報告(R5 [2023] 年度)

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講師による作品制作へのアドバイスを受けながら彫刻を学び、2回目では焼成した作品を鑑賞後、古の美術品に触れる彫刻体験講座を開催しました!


【開催概要】

◆日時  【第1回】令和5年8月26日(土) 13:00~16:30

     【第2回】令和5年12月10日(日) 13:30~16:00

◆会場  セラミックパークMINO(多治見市)

◆講師  神戸峰男氏(彫刻家、日本芸術院会員、名古屋芸術大学名誉教授)

◆参加者数  【第1回】21名

       【第2回】21名(うち見学者3名)


◆内容  彫刻家で日本芸術院会員の神戸峰男先生を講師にお迎えし、2回シリーズの彫刻体験講座を開催。会場は美濃焼の産地、多治見市にあるセラミックパークMINOで開催しました。

【第1回】

 初回は1.5Kgの信楽産の粘土から「私の大好きなもの」を造形します。神戸先生より、参加者へ何を作るか一人一人に尋ね、例えば白熊を作りたいとのお子さんには「熊はすごく頭がいい。人間の気持ちがよくわかる」などと作りたいものへのさらなる興味と制作意欲を抱かせるととともに、他の方々へも「色を考えながら作って」、「特徴をどのように出すかを考えて」、「大きく作って」など、制作に際する心構えなどその都度アドバイスを行い、楽しく伸び伸びと作ることへと誘いました。

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 続いて制作に入る前に、「親御さんが子どものためを思っていろいろアドバイスを言う、手助けをする。そうすることは子どもさんの作品によくない。私は、自分の気持ちが素直に手・指に伝わって形になってくるのが最高の作品だと思っている。親御さんは口・手を出さず、自分の作品を一生懸命作る。その姿が子どもさんの作品作りによい影響を与え、相乗効果となる。期待で子どもの作品をつぶすということがないようにしてください。」と神戸先生より話があり、よい作品は、想い・気持ちが作品へ反映しているものであることを教えていただきました。また、会場をこの場にしたのは、汚れを気にしなくてよいこと、新聞紙は半分に折って、回転台の代わりとして使うのであって汚さないことを目的とはしていないことの説明があり、想いのまま制作するようにとの説明がありました。

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 作品は1,200℃で焼くこと、焼きあがったあとの色をサンプルを用いて説明があり、第2回目の時に焼きあがった作品を鑑賞することなども説明がありました。作品ができあがった後、神戸先生より講評がありました。個別の作品の講評に入る前に全体的な話として、「人と同じようなものにならなかったこと、猫でもそれぞれの猫となった、私の作った猫とあなたが作った猫、お母さんの作った猫とお子さんの作った猫、それぞれが違った、同じでなくてよい、これが大事。普段の生活でもほかの人と違っていいということで過ごしてもらいたい。」と述べられました。

 続いて個々の作品について、神戸先生がひとつひとつ手にし、講評されました。猫の作品では、このままでは上手く焼きあがらない。その理由が、頭の大きさと身体の大きさが違うので、乾燥させる時間に差がでるためであること、上手く焼き上げるために、胴体の土の量を減らす(具体的には胴体の中をくり抜く)ことについて、解説とともに具体的にその場で実演されました。

 トカゲの作品では、指の形までよくできていることを評した後、制作した子が、作品の説明に際し、トカゲが爬虫類であること、爬虫類と哺乳類や両生類の違いなども知っていることなどを踏まえ、「何かひとつのことを好きになったらとことんやること、このことは大人になっていく過程で大切なことだと思います」とのお話がありました。

 アニメーションのキャラクター、フクロウ、猫、亀、うさぎ、お母さんなど、他の作品についても神戸先生から各々の作品の良い点について講評がありました。参加者は自らの作品への講評はもとより、他の方の作品への講評も聞き入っていました。

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 講評が終わった後、神戸先生より、持参された「お墓にあったという井戸の焼き物」について、2,000年以上前のものであること、焼き物は腐食せずに残ることなどについてお話をされ、焼き物はいつまでも残ることの素晴らしさを感じていただければとのお話がありました。お手伝いいただいた福岡先生からは「制作に際してこんな発想があるかという気付きがあったこと、考えたものがすぐに形にできる粘土の良さを改めて認識しました。」と、加藤先生からは「自分も彫刻しているが、大人になって小手先になってしまっていると気づかせてもらう機会にもなりました。子供にはかなわないかもしれないが作る楽しさを大事にしていきたいと思いました。」と感想をいただきました。

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【第2回】

 第1回開催から約3か月後、焼成した作品が揃いました。当日は参加者全員の作品に対して神戸先生から講評をいただき、「完成した作品は大事にする。大事にされたものが残る。どうでもいいやと思った時からなくなっていく。」「観察力がすごい。観察したものから受けるインスピレーション、それを感動として、それを手に伝えて形にする行為が大切です。」「夢のある作品になりました。」「胸筋は前面なので雰囲気を出しやすいが、背筋はよく観察しないとできない。この作品はよくできている。」「ウサギの耳の作り方を教えてもらった。素晴らしい作品です。」とお褒めの言葉をいただきました。共通していることは、「想いが作品を作る、想っていれば形になる、想いが薄いと失敗も大きくなる、例え失敗しても想いが強ければ次は成功する、あきらめないことが大事3回続いて失敗したらどうしたら上手くいくかを考えるという4段階を経て制作を続けていただくのがいい」と、また、今回の体験を通して「あせらないでずっと続けていく大切さを粘土細工から覚えていただければいいと思います。そういった作品制作への姿勢がこれからの生活姿勢となることでこれからの生活がきっとよりよいものになります。」とよい作品作りへの取り組み方、ひいてはその姿勢が日常生活へも波及することに関してお話がいただけました。

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 休憩を挟んだ後、神戸先生が収集持参された数千年前に制作された銅鏡や青銅器、ガラスなどを素手で直接手に取って触れる体験をさせていただきました。素手で触れる体験は、美術館・博物館などでは手袋をしてからでなければ触れることができないことがほとんどであるが、本物を意識するには素手で触れ、感じる必要があるためというのがその理由で、非常に貴重な機会となりました。数千年前から物があるのは、死んでからも生きている時と同じような生活をしたいと思ったためであること、それはどこの国・民族でも同じであったこと、ブロンズ・ガラス・テラコッタが人類が作った最初の造形物で、今回の体験は数千年前と同じことをしたこと、文明が発達すればするほど文化が下がっていると感じていることが述べられ、「美術品は希望の無い所では作られない。次の世界があると思われるときにつくられるもので、美術品は永遠の価値を持つものである。人間の意欲を形にしたものが文物になっていることを覚えておいてもらいたい。」とお話しされ終了しました。  

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◆参加者の声  

 「制作の時の指導がよく、素晴らしい作品ができました。」「一人一人の作品に丁寧に感想を述べられたことが素晴らしいと思いました。また、一つの事象から多くの知識や感じ方を持つ面白さを学びました。」「いろいろな話が聞くことができて大変良かったです。」「優しさあふれる講話が聞くことができて大変良かったです。」と作品制作の面白さと焼き物作品が数千年前から続いており人の想いが宿っていることなどが、講師のお話と合わせて解することができた、実りありかつ示唆に富む講座となりました。

 

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